Masaki600轟音日記

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[T.O.M] 第1章 Otogi.1

「息苦しい。」

 

気が付けば階段に座り、ギターを弾いていた。

涙で濡れたギターは切なく儚い音色を響かせる。

旅立ちの時、贈る歌。

それは宇宙の様で河原。

 

Otogi1

おとぎの国。そこには何があるのだろうか。

(幸せ)かな。

 

トムが運んでくる空気はとても温かくて心地良い。

いつも寝る時は僕の足を枕にして寝ていたから、僕は一度寝る体勢になったらもう身動きが取れなかった。足を動かしたら怒られるんだ。

冬はあったかくて良いけど、夏は地獄だったね。お互いに。

 

でも今は足にのしかかる重さ、温かさ、安心感すら消えてしまった。

 

「トム、お前は今Otogiに居るのか?」

「いつ帰ってくる?」

「そっちの世界も楽しそうだな。」

「幸せそうだな。」

 

錆びれたブラウン管テレビに映し出されたのはアナログの僕。

 

情けない顔をしていた。

 

いつからかトムの存在は、弟から兄へと変わっていった。

 

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