見たんだ。虚像の世界を。
俺は間違いなく見た。
嘘じゃない。
俺は見たんだ、虚像の世界[Otogiの国]を。
あれは絶対に虚像の世界だ。
皆不敵な笑みを浮かべながらこっちに歩いてくる。
相当不気味な世界だったよ。
それは嘘だ。
[Otogiの国]はすごくハッピーな国だよ。
おとぎって名前付いてるくらいだからね。
みんなお菓子と紅茶が好きで、喧嘩、戦争、犯罪など起きないんだ。
それも嘘やろ。
[Otogiの国]はめちゃくちゃ残酷な国やで。
強者しか生き残れへんねん。弱者が過ごせる国ではない。
やから権力とか財力を持ってへん奴は、国を去っていくねん。
たまに腕っ節がええ奴は力で生き残りよるけど、それもな時間の問題や。
ちなみにやけどな、この国で生き残れへんかった奴の行き先教えたろか?
バジリスクの餌食や。
この国の周りにはどっからどう行ってもバジリスクがおる森を通らなあかんねん。
恐ろしいやろ。
それも嘘だろ。
[Otogiの国]はそんな国ではない。ただすごく切ない国だよ。
常に青く曇ってて霧で覆われている。
I feel gloomy.って感じでね。
みんな何かに悩んでて、すごくネガティブな国。
その感情が天気に現れてるのかも。
いやいや、それも嘘だね。
そもそも[Otogiの国]なんて無い。
夢の中の話だ。みんな奴に騙されるな。
嘘じゃない、俺は見たんだ。
虚像の世界[Otogi]を。